生地耳を知っていますか?
織物工場で産業廃棄物とされる「生地耳」。
生地の安定した生産にどうしても必要な部分なのですが...
1つの工場で100㎏もの生地耳が1週間で廃棄されています。
クリエイティブでサスティナブルな活動 mimi-project では、
学、織物工場で産業廃棄物とされる「生地耳」。その背景と面白さを知り、「生地耳」を使い、社会にプラスのインパクトをあたえる作品を、学生さん限定で募集しました。
2024.10.4 ~10.9 開催mini mimi expoにて展示。
会場票も併せて賞が決まりました。
受賞作品紹介
査員の投票数が断トツで1位でした!画像で見ても、会場で見てもスッキリと洗練され、存在感がありました
●作者コメント 紙素材を織り込んだ際に、まるで高いところから流れ落ちる滝のように見え、その光景から白い水しぶきが立ちあがる壮大な滝をイメージしました。このイメージをもとに、綿糸と生地耳を交互に模様になるように織り、光の違いを表現しました。
●審査員コメント抜粋
・ランプシェードとして実用性と併せて、アートとしても美しい。綿と紙の素材で、異なる光の通り方をする事への気付き、質感の違いは灯りが灯っていなくても神々しい輝きを放っている。現物を見て、どんな風に織り込んでいるのか知りたいと思わせ、また触れてみたいと思う作品。
・細部にまでこだわり抜かれた織りのデザインが、視覚的にも触覚的にも心地よい調和を生み出しており、見る者に深い感動を与えている。光と素材が持つポテンシャルを最大限に引き出し、デザインの域を超えた深い芸術性を持っており、グランプリ賞にふさわしいと高く評価された。
牧野 紗千さんには、サンコロナ小田株式会社より賞金5万円が授与されました。
クラゲのパーツ毎に、違った動きや表情が出る工夫がされていて、生地耳の特性を生かしていました。
●作者コメント 生地耳をはじめて触ったとき、そのやわらかさに心地良さを感じました。この感覚がくらげを連想させたことから、作品制作に至りました。生地耳からはみ出た糸の自由さが、まるで海の中を泳いでいるようなくらげの姿を演出しています。
●審査員コメント抜粋
・生地耳からクラゲを連想するユニークな発想力、軽やかで浮遊するクラゲの特徴をうまく捉えている。
・海の色や珊瑚を思わせるカラー、傘の裾部分の生地耳が海中で漂う様を想像できる。
・自立したり変形したりの工夫がなされ、オブジェとして固定されたものではなく、生地耳の揺らぎや変化を楽しめる作品。
大西 恋菜さんには、サンコロナ小田株式会社より賞金3万円が授与されました。
一見では分かりにくいが、よく見ると面ごとに違う表情での手の込んだ織物が面白い力作でした。手を動かかすことから生まれた素晴らしいアイディアですね。
●作者コメント 生地耳の柔らかい質感を最大限に活かすために、大きいボックスクッションカバーを制作しました。荒めにざっくりと織り込んだ捨耳は、手触りがとても心地よいです。また全ての面で異なる耳を織り込んでいるので、気分に合わせて好きな質感や色も選べます。
●審査員コメント抜粋
・作者は生地耳を丹念に手織機で織ったと推察。厚みや色使いは暖かく、クッション、座布団などへの汎用性が感じられる。
・生地耳がとても表情豊かな素材であることを初めて知った。
飯嶋さくらさんには、アップサイクルアート販売サイトACTA+での発表と販売権が付与されます。
ノミネート作品は、mini mimi expo2024の会場、大阪デザインセンターで展示されました。会期中の来場者のアンケートと、主催の一般社団法人日本低スタイルデザイン協会の票にて奨励賞が2点決まりました。
奨励賞
エントリーNo.5 「Starry Sky Cover」 相模女子大学 日置澪さん
和紙素材の良さを残したまま、上手く球体を作成している。会場でも漏れた優しい光が、確かに安らぎを与えてくれていました。
●作者コメント 安らぎの夜空を演出しました。
●審査員コメント抜粋
・実用性を兼ね備えており、より多くの人の目にとまり、生地耳の推進に良いと思う。
・和紙壁紙は高額内装材で、廃材もその価値をより高めてくれると感じた。
mimi-award 2024では、どこから生地耳を手に入れ、どのように向き合ったか。生地耳に対する思いを、コンセプトとして提出いただきました。その中で断トツストーリー性があったのがこの作品‼!
会場でも人気で票を取っていた。肩のこらないあどけない可愛さが人気の的でした。
奨励賞
エントリーNo.11 「きじぃ」 女子美術大学短期学部 川口莉奈さん
●作者コメント 生地耳から生まれたことから「きじぃ」という。生地耳は生地の安定のために生地を守り、仕事が終わると、捨てられた生地耳をかき集め、きじぃと呼ばれる姿に戻り生地の国へ帰っていく。
●審査員コメント抜粋
・実用性はともかく、生地耳らしさがあるのと、敢えて単色でナチュラル感が表現されてるところを評価した。
初めて見る生地耳。端材でこんなかわいい作品になるなんてと感動!
審査員 植山織物(株), (一財)大阪デザインセンター,サンコロナ小田(株) , (株)ゼロファーストデザイン,
(一社)日本インテリア協会, (株)日本カラーデザイン研究所, (一社)日本テキスタイルデザイン協会, (株)Prossimo